映画 FAKEをみてきたので感想 ~それすらFAKE~
森達也監督のドキュメンタリーFAKEを見てきました。
先に言い訳しちゃうと
ドキュメンタリーはあまり見ないので森監督については詳しくありません。
他の方のレビューを見たら結構「森監督らしい!」という声があったのですが
その点については私は語れません、ごめんなさい。。
そして、あのゴーストライター騒動についてもあまり詳しくありません。
ああやってマスコミから始まり終いには社会全体で一方を責めるような出来事が
あまり得意ではなくてなんとなく避けちゃうんで。
なんとなくの概要は知ってる程度です。
じゃぁなんでこの映画を見に行ったの?というと
佐村河内さん側の言い分に興味があったからです。
上記のように「アイツ、悪!」ってされた人が実はどう感じているか知りたくて、
そのきっかけになるかなーと思って見に行きました。
この先、内容に踏み込んだ感想をつづるのでネタバレあります。
真実は、無い!
感想は、もうこの一言に尽きます。。真実は無い!
「事実」は色々とあるんだと思います。
でも「真実」はない。
真実は人によって、その人の価値観によって変わるから。
私はそれがタイトルにも出てるんじゃないかと思ってまして、
この「FAKE」っていうロゴ、よーくみると「A」と「E」がボケてるんですね。
私たちは「偽り」を見てるわけだけど、その「偽り」は霞がかってて
じゃぁ何が「偽り」で何が「真実」かというと、さて何だろうね?っていう。
そういうことなのかな、と思いました。
映画が切り取った「事実」から私が感じたこと(=印象)
映画で表現されたものをどう受け取るかは人によって変わるとしても、
そこ起きていたいろんな「事実」は存在します。
中でも私はこの2つの出来事が印象的でした。
1:暖かい夕食を前にしながらゆっくり豆乳を(1Lも)飲むシーン
「どうして豆乳飲むんですか?」「好きだからです」
2:海外ジャーナリストが事の顛末をインタビューしに来たシーン
「どうしてピアノを捨てたんですか?」「部屋が狭かったからです」
こういう場面があった事実から、私が抱いた印象はこうです。
この人、嘘ついてないんだろうな。
正解かどうか、真実かどうかは別ですよ。
「事実」から私が感じた「印象」です。
だって嘘つくならもうちょっと上手くつくと思うから(^^;
豆乳は、まぁいいでしょう。ちょっと気が抜ける返事だけど
晩御飯を後回しにするくらい(冷めるのに)豆乳が大好きなんだねってことで。
でもピアノの話は無い!
自分の身の潔白に関わる大事な話でしょう。
事実は「部屋が狭かったから」にしてももうちょっとカッコよく言いたくならないもんかな。
でもでもでもでも、色々あったじゃない、この人!
まさかこの人が嘘ついてないなんて、そんなわけない!と
思いますよね、普通。
「嘘」ってなんだろ??
上記の通りこの騒動にあまり詳しくなかったので
映画のレビューを読みながらあの出来事も振り返りました。
特に騒動に触れていたのはこのレビューです。
聞こえるのか、聞こえないのか。作曲できるのか、出来ないのか。
歩けない設定どうした、頭の中の五線譜どうした、などなど
いろいろ細かい点について解説されてる記事でした。
読みながら「へ~、そんなポイントだったのね」と思った。
映画を見て、こういう検証されてる記事を読んで、
それの上での私の感想は「うん、やっぱり嘘じゃないんだろうな」です。
世の中ではそれを虚言癖というのでしょうけども
恐らく本人は「嘘をついてる」という自覚なしに
その時ベストだと思われることを話したり表したりしちゃうのでしょう。
多くの人は「それオカシイよね?」と思う事なんだけど
本人はたぶんそう思ってないのだから・・・
もうそれこそ「だた一つの着地点は、ありません!」ということかと思います。
ラストシーンはかなりびっくりな場面で終わります。
うわぁぁ、ここで終わるか!!と驚いたし、にやっとしたし、心地よかった。
あのシーンもそういう事なんじゃないかと私は受け取りました。
彼は自分にとっての「嘘」と世間からの「嘘」の間で混乱してるんじゃないかな、と。
だからああいう場面になったんじゃないかと思います。
それでも許せぬ!という人もいるのでしょう。
それはその人の立場によってこれまたそれぞれだと思います。
障害を笠に着るとはなにごとだ!という人とか
そんなことで金儲けをするとは言語道断!という人とか。とかとか。
それはそれだと私は思います。
あえて、私がこの件で何か残念な点をあげるとしたら
せっかくの音楽がこの騒動の所為でイロモンになっちゃったことかな。
でも別に許せなくはない。音楽が可哀想だね、と思うだけです。
それ以外の人も当然いるだろうなという上でね。
気になるあれこれ&参考記事
最後にいろいろ気になった点と、参考にした記事を並べます。
・ケーキ
ケーキの映画でしたね(笑)
あの状況で綺麗な(そして多分美味しい)ケーキを出し続ける奥さんに感服しました。
奥さんの愛を感じた。強い。
そしてまさかケーキで終わるとは。素晴らしい。
・外国人ジャーナリスト
意図されてそう見えてるんだかどうか分からないけど
日本のマスコミとの姿勢の違いが明らかで、興味深かった。
・猫
猫の映画もありましたね!
映画館でもらったチラシはこんなでした。猫の瞳にうつるのは・・・
参考にした記事はこちら!
岡村靖幸×松江哲明 : 森達也監督15年ぶりのドキュメンタリー映画 佐村河内守“主演”の『FAKE』を語り尽くす! 前編 | GINZA | CULTURE
あ、最後に。ほんとにこれで最後。
感音性聴覚障害ときいて思い出した動画があるので貼っておきます。
コミュニケーション上は分からなくても実は聞こえにくいということはあるのですね。
今までも安易な「正解」や「真実」は怪しいもんだなと思ってきましたけど
この映画を見てますますその思いを強くしました。
あるのは「事実」と「自分の意見」と「他の人の声」だけなのでしょう。
バランスのとり方は人それぞれ。
簡単にスパッと決めた真偽や善悪を
押し付けたり押し付けられたりしないよう、気をつけていきたいです。
なーんてね、この感想もきっと誰かにとってのFAKE。
こうやってたくさんのFAKEを作り出すのが監督の真の目的だったりして・・・