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舞台 ゴジゲン 「劇をしている」 感想

大好きな劇団、ゴジゲンの新作を観てきました。

@下北沢OFF・OFFシアター

 

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ゴジゲンとは&私とゴジゲン

ゴジゲンを知らない方のために簡単な説明と

あと私が語るゴジゲン話を。なんかすみません。

 

 ゴジゲンとは慶應義塾大学の演劇サークルから生まれた劇団です。

私が初めて観た彼らが大学を卒業するとき。

慶応大学の中にある劇場で公演があったので観に行きました。

…実はその時は別の俳優さんが目当てだったことをここに告白します。

 

脚本演出の松居大悟さんと俳優の目次立樹さんが中心の劇団で

その時見た「エイトビートニート」はそれまで劇場で見てたお芝居と違って

なんというか・・・その時の感想では”後味に何か残る”と思いました。

ピーマンみたいな。

美味しい、、ような気がする。でもちょと苦い。でも美味しい。なんだろ?

そんな感じでした。

今思うと多分彼らは若くて色々粗削りで、原石だったんだと思います。

ちなみにこの作品は池袋のシアターグリーンという劇場が主催する

学生演劇祭で優勝という、若手登竜門をくぐりぬけた作品でした。

 

そこから数年たって段々劇場が大きくなったころに通いだしました。

綺麗ごとやお約束ではない、

人の本性とか衝撃を描こうとしてるのかな、という印象で

いろいろ見た中では「アメリカン家族」が好きでした。

普通の家族であろうとする中で、普通ってなんだ、家族ってなんだと。

見ていて感じた胸苦しさが家族に感じるそれと近くてリアルでした。

 

ずっと客演だった東迎くんも所属になって、どんどん大きくなるなぁ、、

というころに活動休止。

理由は確か「予定されている演劇をこなすのが辛くなった」というようなもので

残念だけどとてもゴジゲンらしいなと思いました。

ただ直前に所属になった東迎くんの行く末だけが心配でした。

 

その後松居くんは

(あ、同世代なので勝手に”くん”なイメージでおります。ごめんなさい)

映像の世界でも活躍して、映画なんかも撮りはじめて、おおお凄いなと。

目次くんはとっても個性的な俳優さんで大好きだったけど

松居くん以外の舞台に出る気配はなかったからどうかな、、、と思ってたら

農業を始めたり環境のことを考えたりしてるのが何となく伝わってきて

直接演劇とは関わってないけど、なんか彼らしいなと思いました。

東迎くんは時々ゴジゲンブログを更新してくれて、その姿が本当に健気でした。

 

私も色んなお芝居を観るようになって

日本の商業演劇は正直あんまりだなぁと思うことが増えました。

けれどもゴジゲンだけは忘れてなくて、たまにブログを覗いては

復活情報無いかな、、とか松居くんまた映像やるんだな~とか思ってました。

 

で!!そんな紆余曲折を経て!!

2015年、ついについについに、3年ぶりに復活のお知らせ!!

待ってましたと電車の中でこぶし握りました。ほんとに。グッ。

ちゃんと目次くんもいる!東迎くんも!

心から楽しみにして劇場に向かい、ゴジゲンは続くことになり

(復活が決まるまでにお芝居1本分の物語があるのだけど

 いい加減本題に入らないとまずいと思うので今回は割愛)

この年公開された松居監督の映画「わたしたちのハァハァ」も面白くて

劇団復活第二弾公演が今回の「劇をしている」なわけでした。

前書きへのお付き合いありがとうございます。

 

で、「劇をしている」

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この直球なタイトル。

松居くんの「壁を突き抜けたい気持ち」が透けて見えるようでした。

 

あらすじは・・・えーと。。

松居くんがゴジゲンを通じて「劇ってなんだ」と自問自答する話

です。

登場人物は類人猿から神まで。嘘みたいだけどほんとです。

高校生の葛藤から宇宙との攻防まで描かれました。ほんとです。

 

復活公演となった「ごきげんさマイポレンド」は

目次くんを中心にみんなの未来を探るような話だったけど

今回のは松居くんの未来を探っているようで

もともとゴジゲンはこの2人のチームだったことをおもうと

これでようやくゴジゲンの足が二本デデンと立ったんだなと思いました。

 

劇とは何か。

作ること、生きること。嘘、本当。

一見矛盾したもの全部「劇」じゃないのか。

作りこまれたファンタジーも劇、ただそこに立ってる人も劇。

生きてれば劇。舞台上の嘘は劇?駅のホームで電車を待つ現実は劇?

なぜ劇をするのか。舞台で何をするのが劇なのか。舞台は要るのか。

見ていて私も「劇」を中心にした哲学に放り込まれました。心地よかった。

松居くんはきっと「劇ってなんだ?」と考えながら

「これが劇だ」というものを作りたくて

わざわざ「劇をしている」と現在進行形のタイトルにしたんじゃないかな。

 

ポレンド、ハァハァ、劇をしている、と最近の松居作品は

どこまで脚本でどこからアドリブなのか分からない、とても自然なスタイルで

私はこれを勝手にドキュメンタリー演劇と呼んでいるのですけど(心の中で)

私が知る限りであるこの3作品のなかで、今回のエンディングが一番スマートでした。

 

人物たちの胸の内がリアルに出れば出るほど終着点が見えなくなるのです。

そりゃーね。実際にはみんな今も悩みながら生きてるわけだからゴールなんか無い。

そうすると終わりが近づくにすれ「どうする?どう終わる?」っていう時がくる。

ほんとに舞台上でこれ何度も言われます。「どうする?」って。

まさかほんとに終わり方決まってないのかなって思うくらいリアルです。

 

それが今回は、巡り巡って、人類の起源から宇宙まで巡って、

結局虚構に帰ってくる、冒頭に戻る、それでいてing形を辞めない、っていう

おぉぉぉ、そうくるか!!とすっきり爽快、素敵なエンディングでした。

生きながら作ることの着地点は、ひとまずココなんだな!と。

松居くんは何かを見つけたのかな?と感じてなんとなくニッコリしました。

 

苦しみながら作ってくれてありがとう。

またゴジゲンが見られて嬉しいです。

「なぜ劇をするのか?」って難しいと思うけど

(私はやったことがないので分かりませんが・・・)

例えば「待ってる人が居るから」ではどうでしょうか。

 

いや、それだけで自分の人生掛けてやれるかっていうと無理だろうから

色々理由がある中の一つとしてでもね。待ってる人がいる、と。

もしそういう理由が必要であれば、少なくともここに1人、

ゴジゲンのお芝居を待ってる人がいますので。

よかったらご活用下さい。

一部の演劇ファンが「リア玉」を待ってるみたいに、

私はゴジゲンの次回作をどんだけでも待ちます。

 

ゴジゲンは数少ない「時代や社会を映した芝居を作ってくれる劇団」だと思ってます。

売れるとか売れないとかじゃない、時代が必要とする薬を作ってくれるとこ。

日本版RENTみたいなお芝居を作り出してくれるとこ。

ゴジゲンが社会を切り取ってつくる演劇は、時代の薬になると思っている。

 

日本はねー、もっと演劇で救われたらいいと思うのよ。

傷から目を背けて甘ったるい話に浸っちゃだめ。

まずちゃんと傷を見るところから!それはホントは演劇の役目なのに。

 

話しそれた。とにかく。

ゴジゲンはそういうことをやってくれる劇団だから。

待ってます。これからもずっと待ってます。

 

こんな後半にすみません、客演の皆さま

今回もポレンドに続き3人の客演の方が出演されてました。

奥村徹也さん、堀善雄さん、本折最強さとしさん。

は?最強?と思った方。いいんです、この方はこういうお名前なんです。

 

ポレンドのときはみなさん初めましてだったので何となく見てましたが

今回はそれぞれの関係性も分かっていたので楽しめました。

この3人のことはゴジゲンの3人ほど追って見てないぶん

語られる背景が新鮮で、リアルでした。

「あー、、そういう事もあるのか。。」と。

演劇を続けるって簡単なことじゃないよねぇ。。

 

でも3人ともとっても芸達者なんですよ、すごいの。

あっという間に別人(別物)になれるの。

最強さんがやったウザったい女なんてほんとに女そのもので

「あ、こういう時の女ってこんなにも滑稽なんだな。気をつけよう」って思いました。

成人男性が演じた女から女の在り方を学ぶっていう経験をした。

 

この3人も幸せになってくれるといいなぁ・・・!

6人での相乗効果が好きなのでぜひまた一緒に舞台で見たい。

幸せを探しながら演劇続けられることを願っております・・・。

 

最後に、東迎くん・・・!

今回の劇中、たびたび東迎くんの脱退が匂わされました。

やめちゃうのかなぁ~~~!

残念だけど・・・でも大好きだから幸せになって欲しいしなぁ!

 

アメリカン家族のとき、ピカピカの笑顔でドエロいDVDのタイトルを言い

その場の空気を凍りつかせるという素晴らしいお芝居をされていて

その瞬間の輝き具合が私はずっと忘れられませんでした。

休止中もあのピカピカが思いだされて「彼は元気だろうか・・・」と思ってました。

 

ポレンドで久しぶりに見られて喜んでいたら

今回の舞台ではまた東くんが輝く瞬間(爆死)があって

あぁぁよかったね、東くん、あの時と同じくピカピカだよ!と

お姉さんは一人心で拍手をおくっておりました。

松居くんが東くんを夜空の星にしてくれて嬉しいです。

 

東くんの「真面目に見えて実はとんでもない爆弾」なところが好きです。

幸せになってね。

その幸せの延長やら隙間やらに演劇があるのなら・・・

ぜひまた彼を舞台で見たいです。