TERROR テロ 紀伊国屋サザンシアター 感想
こんにちは、やのひろです。
とても久しぶりにストレートプレイを観てきました。
観客の投票で結末がかわる、というTERROR(テロ)です。
あらすじなどはこちらの公式サイトをご覧ください
このお芝居を見てどう考えたか。
私と、一緒に見に行った法学部卒の夫の意見を載せたいと思います。
皆さまはどうお考えになりますでしょうか??
やのひろの結論、有罪
あらすじを読んだ段階では無罪のつもりで見に行ったんですよ。
ところが見ているうちに揺れが・・・そのポイントは2つでした。
・連邦裁判所(=最高裁判所)でこの判断は否定されている。憲法上許されない。
・法治国家である以上、法を超えた判断基準はないはず
うん・・・
この憲法意識、安保法制で喧々諤々だった時に私がたどり着いた答えだったので。。
これは確かにそうだよなぁと思って有罪にしました。
ここで無罪とすると、法の判断を超えて軍が国民を殺めることを肯定してしまう。
どんな事があっても国が国民の命を奪える仕組みは嫌だな、と思い決めました。
私が、そんな社会には居たくないなと。
(これでいくと死刑もそうですね。この点についても最近考えが揺れています)
あと、途中ででてきたスタジアムの退避命令を出さなかったというところ。
あれでいくと軍は旅客機の追撃をしたかったことが透けて見えましたね。
ラース・コッホはそんな集団意識の犠牲者、とも捉えられます。
集団のために個人が犠牲になる、これを容認できたのは私の中の日本人的感覚かもしれません。
※こちらが投票用紙。投票の際は緊張しました。。。
夫は一貫して無罪
対して夫はずっと無罪でした。
その根拠はこのようなものだそうです。
・殺人罪については刑法の話なのに刑法の視点が出てこないから有罪にしようがない
・緊急避難の要件を満たしているので罰せられない
・という訳で日本の刑法で考えると無罪。
日本の法律ってドイツから来てるんだから似たようなものじゃないの、とも。
それはどうなのかお芝居を見ただけでは分かりませんけれども。。
ここまで聞いて私が「そういうのに対抗するための奥さん登場だったんだよ」
といったのですが、「あの奥さん全然意味なかったね」との返事でした。
・・・完全に法律目線でだけ判断してるようです。。
奥さんが可哀想だとかその気持ちわかるという心情はないようで。なんなの。。
そして最後にこうも言っていました。
「有罪にしたって事はこの先改めて問われても有罪って言えるんだよね?
有罪だと絶対的な確信をもって決めたんだよね?疑わしきは罰せずだよ?」
うっ・・・
お、おう・・・有罪って言えるさ・・・ドギマギ(自信が揺らぐ音)
※この日の判決は有罪でした。
東京公演の結果と海外公演の判決と、それから希望
そんな東京公演。
全16公演で有罪8、無罪8の五分五分となったそうです!わお!
↓ページ中ほど、本公演での判決結果より
そしてなんと2年前の日本での朗読劇では全公演が有罪、
欧米ではほとんどが無罪判決ということを思うと
今回の東京公演はかなり特殊ということになります。
意見、真っ二つ!
北京での5公演は有罪2、無罪2だったと”伝えられてる”そうですから(なぜか伝聞)
アジア圏では意見が割れる傾向にあるということなのかもしれません。
今回の東京公演が真っ二つだったことに、私は日本の希望を感じました。
有罪にした理由がもう一つあって、それは橋爪弁護士の言った
「これが有罪ならテロに対抗する術が無くなる」という趣旨の言葉でした。
え、そう?って反射的に思ったんです。
外交とか政治とか国連の働きかけとか、やれることは他にもあるでしょって。
たぶんこれはとても日本的な発想なのだと思います。
人によっては「お気楽」と呼ぶかもしれません。
でも私は、ここが日本の長所、世界に対してリーダーシップを発揮できる部分だと思います。
島国で他国と隣接していない、領土を取り合った経験がない、
中世から合議で国を治めて来た、などの経験から
他の国にはない発想をすることができる。
いま現在でどこかの国と敵対していない。
これはすごい強みです。
TERRORテロを見て、これはやはり有罪だと思った人が半分近くいる社会。
そこに生きる私たちはきっと他国にはできない貢献ができるはず。
そう感じた舞台でした。
よかったらぜひみなさんの意見も聞かせてください^^
あ、最後になっちゃったけど
あの難しい長セリフで演じきった俳優さんたちに心から拍手!ブラボー!
みなさんきっと本気で自分の方に有利な判決を出そうとされてましたよね。
神野検察官の全身で表された「転轍係です。転轍!係!」に気合を感じました。
難しいセリフもあったので原作本も読んでみます!
※ひっ・・・表紙怖い・・・