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やのひろです

気になるあれこれ

もしイタ2015 もし高校野球の女子マネージャーが青森の『イタコ』を呼んだら 感想

こんにちは、やのひろです。

もし高校野球の女子マネージャーが青森の『イタコ』を呼んだら

略して ”もしイタ” を見てきました。

 

これは高校演劇の作品タイトルです。

2012年の高校演劇全国大会で最優秀賞を受賞されました。

 

そうです、「もしドラ」のオマージュです。

もしも高校野球のマネージャーがドラッガーのマネジメントを読んだら、です。

しかも「イタコ」です。

どんなギャグ演劇かと思いませんか、タイトルだけだと。

 

作品も面白いです。ギャグ満載で笑えます。

 

 

そして

最後にボロボロと泣きます。

 

高校生の演劇と侮るなかれ。

高校演劇の名門・青森中央高校演劇部による伝説のステージ。

東京公演を見てきました。

 

あらすじ

 

舞台は青森のとある高校、弱小野球部。

やる気がない上に部員が8人しかいない状況に物足りなさを感じるマネージャーは

震災を機に青森に越してきたレオ君を勧誘して甲子園出場に燃える。

 

9人そろったのは良いものの優秀なコーチが居ない。

何とかツテをたどって現れたのは・・・コーチではなく青森のイタコだった。

 

不安を感じる部員たち。

しかしイタコはレオくんの体に伝説の投手・沢村栄治の魂をおろして練習に励む。

 

弱小野球部、甲子園出場なるか!?

そして、震災ですべてを失ったレオくんの心は癒えるのか・・・

 

「もしイタ」凄いお芝居です!!!

 

この作品を最初に見たのはNHKの深夜放送でした。

大好きな劇団の俳優さんがツイッター

「これは見るべきです」とおっしゃってるのを目にして

夜中12時ごろからの放送をみました。

 

結果、深夜に一人で大号泣。

 

話が良いし、演技も良い。

銀座あたりで1万円以上払ってみるお芝居よりずっとずっと良い。

ずっと深く胸に刺さる。そして残る。

 

 

俳優さんたちの演技力がすごい!

 

この舞台にはセットも背景も衣装もありません。

みんな黒いTシャツにジャージです。

背景もパントマイムで表現されてます。

 

これが、上手いんです。とても。

 

一人の役者さんが複数の役をやるんですね、

ある時は学校の先生、ある時はテニス部員、ある時は木。

装飾の力を借りずに体と演技だけで観客に状況を見せるんです。

 

それが、ちゃんっと見えるんですよ~~~~。

いやー、すごい。

 

またこの背景さんたちがお芝居にもたらす笑いの要素が強くて

絶妙なタイミングで鳴くカラスが主人公の虚しさを表していたり

大げさに動く時計の針がその場の緊張感を表していたり。

 

音響や小道具では決して代用できない面白さがあるんです。

人が背景までやってるからこそのコミカルさ。

 

これ見ちゃうと、

お金かかってる舞台のセットって何なのかな・・・と思ったり(^^;

演劇部のみなさんの磨き抜かれた演技力で紡がれる唯一無二の舞台です。

 

 

こういう舞台を日本の演劇界はもっと作るべき

 

ここから・・・ちょっと熱いですよ(笑)

 

私は日ごろから日本の演劇に不満があります。

いったい何を目指してるのだろう?と前から思っています。

 

日本で有名なお芝居の名前を、

何か思い浮かべる事は出来ますか?

 

あんまりお芝居を見ない方でもご存じなのはレ・ミゼラブルですかね。

演劇ファンと言われる方達が思い浮かべるのは銀座周辺の演目でしょうか。

日生劇場の近くで行われるいわゆる東宝系のお芝居。

あ、あとはライオンキングとか。劇団四季ですね。

 

あの辺りで上映されてる作品は、ほとんど輸入物です。

 

輸入作品を上演するのも、いいと思います。

ニューヨークやロンドンまで舞台を見に行くのは一苦労です。

本場の演目を日本で、しかも日本語で見られるのはありがたい事です。

 

しかしそれは、興行としての演劇が成立しているだけで

芸術としての演劇かというとまた別だと思っています。

 

芸術であるならば、新しい価値観を提起しているはずです。

”新しい”ということは、その時代と繋がった何かを持っているはずです。

 

日本でレミゼが毎年上演されるのと

ロンドンでレミゼが世界最長ロングランを続けているのは

果たして同じ意味合いなのでしょうか?

封建時代でも比較的民主的に暮らしてきた日本人と

弾圧と搾取に長い間苦しんだ歴史を持つヨーロッパの人達とで

あの作品の受け止め方は同じなのでしょうか?

 

まぁそんなウルサイことは事言わずに・・・

レミゼは毎年お客さんが入るのだから求めてる人もいるのだとしましょう。

 

では新作はどうでしょうか?

日本の演劇界は時代を反映した新作を作り

それを興行的に成功させようとしてるでしょうか。

 

時代を反映した作品が多くの人に届かないなら

それは果たしてこの国に「芸術的な演劇がある」と言えるのでしょうか?

 

演劇の本場、ニューヨークとロンドンはそんな作品ばかりです。韓国もかな?

毎年そんな新作を発表して名作が生まれていく。

 

現代を生きる人たちの心を作品を通じて表現して希望を描く。

それが演劇の役割だと私は思っています。

有名演目や今を時めく俳優でとりあえず利益を出すのは

ビジネスだけど演劇ではないのです。

 

 

お待たせしました、もしイタの話に戻ります。

 

この作品は、見事に、時代を描いています。

 

大震災があった。

何もかもを津波にさらわれた人がたくさんおられた。

人生が大きく変わった方々も。

自分だけ幸せになるなんてできないと涙を流す人がいる。

実際の被害はなくても、あの大災害のショックを多くの人が受けた。

 

そんな時代の救いを描かずに、いったい何のための演劇かと。

私は思います。

 

この時代にこそ演劇が人生の薬箱とならなくて

いったいこの国に、なんの演劇があるのかと。

 

前からずっと、日本にもRENTのような作品があればいいのにと思っていました。

苦しい時代にぶつかりながら一生懸命輝く若者たちの話。

 

日本でRENTを上演するのではなくてね。

日本を舞台に日本人が生きる話。

あぁこんな風に生きたらいいのかと心が震える話。

今日の○○役は××さんでカッコイー♪という感想とは違うベクトルで語れる話。

 

もしイタを見て、これこそが!!!と思いました。

こういうのが見たかった!!!

 

まぁ・・・一概に作り手さんが悪いとも言えないのですけどね。。

たぶん日本の観客で儲けるなら有名な演目とイケメン・アイドル俳優が必要なのです。

観客が「良い作品だから見に行こう」という目を持ってない。

そんな状況の中、製作費がかかる演劇でバクチは打てないのでしょう。

 

 

上記にこの舞台にはセットも衣装もないと書きましたが

それは被災地でも上演できるようにという配慮のためだそうです。

被災した方々のために何かしたい」という気持ちから生まれた作品のため

避難所や集会所などどこでも上演できるように、との配慮からだとか。

 

この作品を見た被災地の方々は・・・どう思うのだろう。

ラストシーンは私なんかよりずっと染み入るんじゃないかしら。

イタコはいなくても・・・

きっとみんなあのラストシーンのように笑ってくれているといいな・・・。

 

 

おわりに

 

大変暑苦しい記事をここまで読んでくれてありがとうございます(笑)

 

こんな私のテキストに心動かされて「見たい!」と思ってくださったあなた!

ありがとう!でも残念ながら見るのはかなり難しいです!(爆)

高校生のみなさんがされてる舞台ですから・・・(^^;

 

もしイタを作った畑澤聖悟先生のツイッターがありますので

そちらをチェックしてると公演情報が得られると思います。

私もこれで東京公演を知りました。

東北地方、とくに青森にお住まいの方には機会が多いかもしれません。

 

この東京公演、なんと無料だったんですね。

でもあまりに素晴らしいからクライマックスを見ながら

「無料だなんて・・・」と心苦しく思っていたら

カーテンコールの際に

「このツアーは全て費用持ち出しです。よろしければ寄付をお願いします」と

生徒さんたちから声掛けがありました。

 

もうこの一言にどれだけ救われたか(^^;

あー、この舞台にちゃんとお金が払えてよかった・・・って感じでした。

少しでしたけど、これで美味しいもの食べて、

また別の土地に行って、この感動を伝えてね、

という想いで寄付をしてきました。

 

寄付を募っていたロビーから会場の出口まで部員さんたちがずらっと並んで

大きな声で一人一人に「ありがとうございました!」と叫んでいて・・・。

 

ありがとうはこっちです。

いい舞台をありがとう。いい時間をありがとう。

みんな体に気をつけてね・・・!

 

 

それではまた!