ファインディングネバーランド 来日公演感想
こんにちは、やのひろです。
出産前から予定していた観劇その1、ファインディングネバーランド観てきました。
以下、ネタバレあります。
※ちなみに劇場が10か月ぶりで、入口に来ただけで感動できました。。
とても美しい演出
見どころはラスト2曲。
ピーターパンが現れて登場人物たちを夢の世界へ誘うシーンは
キラキラ輝く紙吹雪が魔法の粉のように舞い上がっていて
本当に美しい眺めでした。
※パンフレットを写真に撮りました
子供たちにとってのお母さん、そして主人公の想い人が死んでしまうという
なかなかショッキングな展開も、この演出のお蔭で悲しすぎず
受け入れやすくなっていたのではないかと思います。
ラストナンバーは主人公と子供たちが出会った場面、
Believeのアレンジです。
実はこれ、私が聴いてたサントラと違っていてオヤと思いました。
オリジナルブロードウェイ版はWhen you feet don't touch the groundで
かなりしんみりとしたエンディングだったんですね。
悲しいけれど空想の力があれば大丈夫、飛んでいこうというような。
それがツアー中にBelieveに変わったらしくて
公園で過ごしたあの日のように何が見えるかとみんなで遊び
僕たちにはもう空想の力があるから大丈夫、飛んでいこうと
ハッピーな気持ちで終わるようになっていました。
これはとてもいい変更だと思いました。
天気のいいロンドンとファンタジーの魅力が重なり合って
舞台ならではの美しさを味わうことができました。
ロンドンの作品をアメリカでミュージカル化
ところでこの作品、もともとは映画です。
ジョニーデップが珍しく素顔で主演したヒューマンドラマ。
映画の制作はアメリカとイギリスで、監督はドイツ人の方、
物語の舞台はロンドンです。
それを今回アメリカのブロードウェイで舞台化してるわけで。
私としてはここに大きな捻じれがあるんじゃないかと思ってます。
ヨーロッパのものをアメリカでミュージカルにすると
大体派手さが足されて大味になる。。
実は観劇の前に全曲聴いてざっくり翻訳もしていて
その時からなんとなくまとまりが無いような気がしてました。
なんていうか
ヨーロッパにおける舞台の聖地、ロンドンで作られるお芝居は
人のもつ複雑な感情を繊細な色で描いている感じで。
対してブロードウェイは鮮やかな色で描かれているようイメージです。
どちらもとても素敵なのだけどそういう違いがあるので
元々ロンドン風味な作品をブロードウェイで舞台にすると
大体違和感があるんです。あくまで私の感想ですけども。
あー、アメリカンな雰囲気になっちゃったかぁ~!と。
上記の通りとてもうつくしかった、けど、
やっぱりどこか散漫な印象が残った。
その原因は、やっぱり国の違いじゃないかと思っています。
ブロードウェイ公演の評論を見つけた
実際に観てもなーんか曲のバランスが悪い。
全体にまとまりを感じない、そう思ってました。
という訳で帰り道にいろいろ検索したら
プロの方がブロードウェイの公演を評論している記事を見つけました。
ふたつの想像力、ひとつの舞台――ブロードウェイ・ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』/藤原麻優子 – Webマガジン「シアターアーツ」
子供と大人の双方を描く劇は、そのまま大人に向けたミュージカルと
子供に向けたミュージカルのふたつに自己分裂している。
(略)
音楽においては、大人向けの場面と子供向けの場面は
メガ・ミュージカル風のバラードかディズニー・ミュージカル風の
快活なナンバーかという分裂を起こし、結果ミュージカルとしての
ひとつの声をもつことができずに終わっている。
あ、そうそう!そういう感じ!
どっちつかずというか・・・
ほんと「どっち!?」って思いながら聞いていて
我ながら「どっちって何と何だ?」と思ってたのが
このテキストで理解できました。
主人公のスランプと少年たち(特にピーター)の葛藤、
この2つが交差して物語が紡がれていくのに
ブロードウェイらしくそれぞれをハッキリ色付けした結果
うまく混ざらなかったような印象です。
英国風の映画でならそこが上手くいっていたのに。
主人公か少年のどちらかに視点をしぼるか
(つまり、大人向けか子供向けか、ドラマかファミリーか選択するということ)
またはロンドンで舞台化した方が良かったんじゃないかと思います。
とはいえ美しい
全体を貫く軸が見えないなぁと思いながらの観劇でしたが
最初に書いたとおり、それはともかく美しいです。
悲しいことはあるけど明るく美しく終わるお話だし
私みたいな久々の観劇にはぴったりでした。
When you feet don't touch the ground、良い曲・・・!