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劇団四季「パリのアメリカ人」感想 レビュー

こんにちは、やのひろです。


今回は、劇団四季「パリのアメリカ人」を見てきました。

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2015年にブロードウェイで上演され、トニー賞でも話題になった作品ですね。
それではネタバレを含む感想・レビューいきます!

パリのアメリカ人とは?作品についてご紹介!

ご存じない方のためにパリのアメリカ人について軽くご紹介します。
知ってるからはやく感想を読みたい~という方は(ありがとうございます)飛ばしてください。

さて「パリのアメリカ人」、もともとは音楽です。
作曲したのはジョージ・ガーシュウィン
アメリカ初の本格的なクラシック作曲家で、誰もがきいたことある「アイ・ガット・リズム」も作りました。

そのガーシュウィンがパリで過ごした雰囲気を音楽にしたのが「パリのアメリカ人」という曲です。

今回の作品でも使われてる曲です。楽しい気持ちが伝わる曲ですよね(^^)

その曲が1951年に映画に使われました。
これが舞台の元ネタにもなっている「パリのアメリカ人」という物語です。
画家と音楽家と歌手とダンサーがいて…っていう話ですね。
ちなみに主演は「雨に歌えば」と同じ、ジーン・ケリーです。

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そのクラシカルな映画が2014年にミュージカル舞台化!
2015年にはトニー賞で12部門ノミネート5部門受賞!
そしてそして、その作品がなんと日本語に!というのが、この劇団四季版なわけです。


舞台版パリのアメリカ人の見どころは?

トニー賞でこの作品が話題になったのは、なんといっても演出です。
これまでのミュージカルと一線を画す、バレエを基本にした美しさがNYを魅了しました。

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それもそのはず、振り付けと演出を担当したのは、英国ロイヤルバレエ学校出身のクリストファー・ウィールドン。
ずっとバレエダンサーとして活躍してきた彼だから作れた作品なのです。


というわけで、この作品で注目すべきなのは振り付けと演出!
四季版のキャッチコピーも「こんなに美しい劇団四季、見たことない」ですけども、まさにこの作品は「美しい」。
優雅で華やか、それでいて時に力強いバレエの踊りに酔いしれましょう。

…ここでちょっと補足説明。

実は日本でブロードウェイの演出をそのまま見るのはなかなか難しいです。
東宝もよく「ブロードウェイミュージカル」を上演しますけど、あれは演出変えちゃいますから。
脚本は同じだけの別作品みたいになります(それでも作品を知りたいときは我慢してみるけど)
そんなわけで、本物の演出をそのまま持ってきてくれる四季はとても貴重なのです。

劇団四季「パリのアメリカ人」感想

お待たせしました、感想です。
まず私が観た上演回のキャストをご紹介します。

ジェリー 酒井大
リズ   近藤合歓
アダム  俵和也
アンリ  小林唯

難しい振り付けを踊ってくれたキャストに感謝…

私はバレエはあまり見ないので、たまにテレビで見かけても理解しきれないのですが
これはベースがミュージカルなので、初めてバレエの良さを感じることができました。

もうね、本当に美しい。特にリズ!!
まるで体重がないかのように、鳥の羽みたいにふわりふわりと舞っていました。

参考にブロードウェイオリジナルキャストが躍った映像をどうぞ。
役者さんはもちろん別人ですが、ふわり具合の参考に…!

あの踊りをするには…たぶん相当な筋肉と訓練が要るのだと思います。
見ている時にはうっとりと「わ~、すごくきれい」と浸ったのですが
見終わってから「あれを踊るのは相当大変だろうな…」と思いました。

そんな振り付けを踊ってくれた近藤さんに拍手…!
「どこの誰か分からない。でもとても魅力的な女の子」をダンスで納得させてくれました。
あんなふうに踊る女の子がいたら、応援したくなるし惚れちゃうよね~と。

何度聞いてもステキなガーシュウィンの音楽

この作品はジョージ・ガーシュウィンが作った音楽で彩られているわけですが
そう聞いて思い出すのは「クレイジー・フォー・ユー」です。

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同じくジョージ・ガーシュウィンの音楽でつづられたミュージカルで、劇団四季の十八番(最近見ませんね)
パリのアメリカ人を見ていても懐かしいナンバーがたくさん出てきました。

そうこの作品のもう一つの魅力は、原点でもある音楽。
ガーシュウィンのオシャレで耳馴染みのいい曲がたくさん出てきます。

一番はやっぱりアイガットリズムかな。

クレイジー・フォー・ユーとはまた違う場面で出てきて、こういうのもいいなとニンマリしました。
ポリーがトタンに乗ってにっこりするところ(クレイジー…のワンシーン)を思い出しつつ、今作のバレエを堪能しました。

そんでまた、ガーシュウィンのモダンな音楽にウィールドンのバレエという組み合わせが素敵なんだ…。
その辺りも注目(注耳?)です。

久しぶりの四季は日本語の違和感がなくなっていた

実は劇団四季を見るのはとても久しぶりでした。
というのも、いろんなお芝居をみるにつれて四季独特の発音が苦手になっていきまして…。

四季は母音を強調する発音をするんですよ。ハッキリして聞きやすいんですけど、不自然。
なかなか作品に集中できないので、足が遠のいてました。

そんな中で久しぶりに見たら。なんと見やすくなってる!

セリフの言い方も自然になってるし、翻訳された歌詞も違和感ありませんでした。
これは嬉しい驚き。

数年前から少しずつ方向転換していた結果なのか、この作品が特殊だったのか…。
事情は分かりませんが、お陰様で作品とバレエを楽しむことができました。

H3 バレエ演出によって美しくよみがえった「パリのアメリカ人」

この作品、元は古い物語ですが2015年にブロードウェイ初演です。
リバイバルではない新作ですが、お話のベースはリバイバル並みという立ち位置でした。

数々のクラシック作品が現代でも楽しめるようにリバイバルされてきましたが、
その中でもこの「パリのアメリカ人」は、素晴らしい出来なのではないかと思います。
(いや、リバイバルじゃないんですけど。物語の復活という意味で)

お話はシンプルなので、普通のミュージカルにしたら現代だとちょっと物足りない。
でもバレエを中心にして舞台化したことで、全く新しいミュージカル作品として見ることができました。
お話は懐かしいのに受ける印象はとても新鮮。
この舞台化は大成功だったんじゃないでしょうか。

これから機会のある方はぜひ見てみてください。
NYの話題作をそのまま日本で、しかも日本語で見られるチャンスですよ~。