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映画 スポットライト ネタバレ 感想

こんにちは、やのひろです。

今年のアカデミー賞作品賞「スポットライト」見てきました。

 

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アカデミー賞の授賞式は生放送で見てました。

「今年の授賞式は映画作りに沿って行います。まず脚本賞」

でスポットライトが脚本賞を受賞し、

その後はマッドマックスV8達成か?に盛り上がって

レオ様の主演男優賞受賞に感激して、

最後の作品賞で「レヴェナントかなぁ。まさかマッドマックス!?」

と思ってたら脚本賞をとったスポットライトがとる、という結末。

 

まさに脚本に始まり作品に終わる

映画の核を見せてもらった気がしました。

「この記事を世に出す」という執念

教会のスキャンダルを新聞が記事にする話、とは知ってましたから

もっと勧善懲悪っぽい雰囲気なのかと思ったら違いました。

 

前代未聞である社会の闇に立ち向かう動機が「それだけ」なんですね。

「俺たちの正義を証明しよう」とか「教会に罰を!」とか

「この特大スクープで売り上げを倍増させよう」とか無いんです。

 

最後の方に他社に出し抜かれないよう苦慮する場面がありましたが

それも売り上げのためというよりは自分たちが追ってきたものを

人に取られてこの重大さを損ないたくない、というように見えました。

 

記者たちは仕事をしすぎて家庭が崩壊しかかっています。

古い友達にあたって協力を頼み、険悪な空気にもなります。

それでも「この方向で記事にするんだ」という1点だけで動き続ける。

この純粋さにグッときました。

 

いま私たちの周りにあるジャーナリズムはどうなのでしょうね。

内容の裏に会社の思惑が透けて見えるものが多いように感じます。私は。

 

日本のジャーナリズムにはない(らしい)企画力

以前デジタルジャーナリズムフォーラムというイベントに参加した時、

米で日米のメディアを研究されている菅谷明子さんの話で

 

「日本のメディアには企画力がない。

 決まったところに押しかけて他社より早く世に出すだけ。

 もっと企画から考える発想が必要」

 

とおっしゃっているのを聞きました。

私はジャーナリストではありませんから「そうなのか~」と

他所の話としてしか受け止められませんでしたが

この映画を見て「こういう事かもしれない」と思いました。

 

スポットライトチームが教会での児童虐待を取材しだした時

世の中としてはこのことはまだ大きく報道されてませんでした。

 

それでも新しい編集長がこのことに目をつけて

記者の独自性を大事にするスポットライトチームが取材を続けて

警察や司法も目を瞑っていた(瞑らされていた)事実を白日の下にさらす。

 

これを取材しよう、この方向でまとめよう、と決めて

それに必要な情報を集めて練り上げる、

ゼロからイチを作る力がある、ということ。

あの時菅谷さんがおっしゃっていた企画力はこれかもしれません。

 

自分の身に引き寄せて考える大切さ

またまた私の体験からの話で恐縮ですが・・・

この前SEALDsの方が登壇する会に参加しました。

その時彼らが言ってたのが「事柄を身近にすることを大事にしてる」

ということでした。

遠い話だと思うといつまでも大切さが分からないから

これは自分のことだと感じたり、感じてもらうことを大事にしてると。

 

映画の中にもこんなシーンがありました。

チームのリーダーが自分の高校の同級生達に会いに行って

神父からの児童虐待について知っていたら教えてほしいって話すんです。

 

彼らのうちの1人は最初あまり本気にしなくて話にならないんですね。

そこでリーダーが言う

 

「お前は何部だった?俺は陸上部だ。

 被害者はホッケー部だ。なぜ彼が被害に遭ったか?

 神父がホッケー部の顧問だったからだ。

 ラッキーだっただけだ。俺もお前も」

 

リーダーは自分の母校にも被害者が居ることを知ってぐっと身近に感じ

その事をまた人に伝えていく。

 

こうやって当事者意識のある人たちを巻き込んだ結果が

世紀のスクープを生み出したのだろうと思いました。

 

ニュースは「スポットライト」

メディアリテラシーのことを知る入門書に

元TBSアナウンサーの下村健一さんが書かれた本があります。

この本は本当に読みやすいので大人にも子供にもおススメ。

・・・ってそれはともかく。

 

その中でも「スポットライト」という言葉が使われています。

 

「ニュースはスポットライト。

 ある特別な現象にライトを当てている」

 

本の目的はメディアリテラシーなので、本の中ではこの後

「だからライトの外側も意識しないと間違った認識をするかもよ」

と続くのですが、私はスポットライトと聞いて最初にこれを思い出しました。

 

映画の中のスポットライトチームは、

編集権が記者にある特殊なチームだと紹介されました。

いま何にライトを当てたいのか記者が決められるチーム。

ニュースを生み出すチームの名前がスポットライトだなんて

なんてピッタリなんだ!まさに報道!!

 

彼らの姿勢とチームの名前があまりに一致していてゾクゾクしました。

最後のセリフもこれにかかってるんでホントに鳥肌立ちました。

こうやって生まれたニュースに触れていたい・・・。

 

最後にいろいろ。WEBとかキャストとか

私はWEBの人なのでジャーナリズムの話題に触れると

どうしてもWEBの課題と比較して考えてしまいます。

 

今回もそうで、まず思ったのは「この取材はWEBには無理」でした。

理由は長くなるなって記事に合わないので割愛しますが

あれはやっぱり新聞だからこそなせる業です。今のところは。

今後は紙媒体の人がWEBに進出してああいう取材がWEBでも出来るかも。

 

取材は得意だけど発信が苦手な既存メディアの良質な記事は

取材は下手だけど発信が得意なWEBメディアに押されてしまいます。

あくまで現状、WEBでの話でね。

 

そうなるとやっぱり情報をキャッチする人の力が必要で

「もっとこういう報道が欲しい」っていう声で

いい報道を後押しするようになりたいなと思いました。

 

報道が社会問題を世の中に出して、映画がそれを世界に広める・・・

良い相乗効果ですね。

今年のアカデミーは本当に価値ある映画を選んだんじゃないかと思いました。

(去年のバードマンも良かったけど、ちょっと内輪受けっぽく感じた)

 

そして最後にキャスト!

 

私、レイチェルマクアダムス好きなんです~~♡

助演女優賞ノミネートおめでとう!

これまでラブコメで感情豊かなお芝居を見ることが多かったけど

今回の社会派で落ち着いたお芝居もすごく良かったです。

これからも彼女の大人な演技が見たい・・・!

 

そしてマークラファロ。

あなた「はじまりのうた」で落ちぶれた音楽プロデューサーだったね。。

まるで別人でほんとにビックリしました。俳優さんってすごい。。

あの時は荒んだ中年だったのに今回は少年みたいにキラキラしてて。

20年くらい若く見えました。凄い。好き。これからも見たい。

 

最後にマイケルキートン。バードマン!!

あっちもかなり病んだおじさんだったのが今回は凄腕記者。

もうほんとに俳優さんってすごい!!!別人。

この人を見るためだけにもう一度映画館に行きたいくらいいいお芝居でした。

 

ここ数年アカデミー賞の作品賞は見てますが

今回のスポットライトはダントツに好きでした!!!

公開から日が経ってるのに上映回数が減ってきてて

私が見た回は満席でしたよ~。

もしまだ見てない方はお早めに!!

 

それではまた。