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やのひろです

気になるあれこれ

映画「サンドラの週末」 感想

こんにちは、やのひろです。

今日の映画は「サンドラの週末」です。

マリオンコティヤールはこの映画でアカデミー賞主演女優賞にも

ノミネートされてましたね。

 

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思っていたより示唆の多い考えさせられる作品でした。

以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

 ちっとも大丈夫じゃなさそうなサンドラが段々と・・・

 

「大丈夫よ」「もう治ったから働きたいの」と言いつつ

ちっとも大丈夫じゃなさそうなサンドラ。

 

私もあそこまで重症じゃないけど似たような経験があるので分かります、

うつ病が辛い時って起きてることが本当にシンドイ!

人間ってこんなに眠れるのかってくらい寝れるし、全機能をシャットダウンできる。

食事も衛生も気にならないくらいなので、人と会うなんて絶対無理。

サンドラも辛そうです。

 

しかし彼女はいやいやながら同僚と会ううちに活力を取り戻していきます。

 

協力してくれるひと、拒絶する人、聴きたくない情報をくれる人・・・

同僚の様々な対応に喜んだり、落ち込んだり、怒ったり、戸惑ったり。

 

見終わってから思うと、サンドラはそうやって久しぶりに他人と関わることで

社会とのつながりを思い出して気持ちが開けていったのかもしれません。

 

これまた私事で恐縮ですが・・・自分もそうでした。

殻に閉じこもるだけ閉じこもったら自然と新しい情報が欲しくなる。

サンドラの場合はそれをほぼ強制的に体験した、

だからこその最後の笑顔なのでしょう。

 

最初は挫けそうな彼女をみて

「そんなに嫌なら止めればいいのに・・・」と思いましたが

ひょっとしたら本心では外からの刺激を

ほんの少し心地よく感じていたのかもしれません。

 

 

垣間見えるフランスの社会

 

驚いたのは・・・フランスって経済的に苦しんだ!ということ。

なんか、みんなゆったり暮らしてるイメージがあったもので(^^;

でも確かにフランスの経済が好調という話はあまり聞きませんものね。

 

作中には共働きしないと家賃が払えないとか、

ボーナスが入らないと娘の学費が払えないという話が出てきます。

貯蓄とか学資ローンとかあんまりないのかなぁ・・・(・_・)

 

よく、海外は日本より共働きに優しい、

子育ても支援してくれるなんて聞きますけど

こりゃひょっとしたら日本より厳しいかもしれない

そもそも働くのが難しいのかも、

そんな風に感じました。

 

もちろん、フランスにもいろいろな経済症状の家庭があるのでしょうけれど

装飾されてない素のままのフランス生活が見られて興味深かったです。

 

 

これがもし日本なら・・・私だったら・・・。

 

同僚の復職か、在職メンバーへのボーナスか。

あなたならどちらに投票しますか?

 

復職したい同僚が訪ねてきて自分を支持してほしいと頼んだら

どんな対応をするでしょうか。

 

面白いなと思ったのは、この状況になるまでの説明が一切なかったことです。

 

サンドラはなぜ病気になったのか、どれくらい休んでいるのか、

会社でどういう立場だったのか、同僚とはどんな関係だったのか。

そのあたりは全く語られません。

観客はサンドラと各同僚との短い会話でそれらを想像します。

 

中でも心惹かれたのは、サンドラと同僚たちの関係。

特にでてくる同僚たちがみんな率直であることです。

 

ボーナスが欲しい人もそれを隠しません。理由と一緒に説明する。

迷ってる人もそう伝えて、ちゃんとあとで連絡します。

お茶を濁したりしない。

 

そして何より驚いたのは、サンドラ支持を選ぶ人が誠実なこと。

 

ボーナスが欲しいけど嫌々ながら・・・、頼まれたら断れなくて・・・

そんな態度じゃありません。本当に心から彼女を応援してくれる。

むしろ事前の投票でボーナスを選んだことを後悔します。

 

これは・・・西洋人の心理でとても不思議なところです。

 

西洋は日本よりもよほど個人主義が成立していて

日本のように境界をあいまいにして和を保つのではなく

自己主張や個人の利益を守りながら社会を作ってると、個人的には認識してます。

 

サンドラのお願いも主張ですし、再投票も利益をまもるための行動ですよね。

日本ならそもそも投票もお願いも起こらないかもしれない。

会社が決めたことなんだって、仕方ないよね、で終わるかもしれない。

 

そうやって個人主義でありながら

他人のために手を差し伸べることをいとわない。

 

恐らくキリスト教の教えがあるからなのでしょうけど、

それにしてもこの個人主義と助け合いの精神はどう両立してるのでしょうか。

とても興味深いです。欧米の方と話す機会があったらぜひ聞いてみたい。

(その前にそんな話ができるまでの英語力が要るけど。涙)

 

現代日本の方がよっぽど意地悪な個人主義です。

病気になったのは自分の所為でしょ、ボーナスが欲しいのは当然でしょ、

だったらアナタがクビになっても仕方ないよね。そもそも私には関係ないし。

そんなことを言い出す人がいそうだと思いませんか。

もちろん私も、こう考えないでいられる自信はありません。

仲良くない人になら思うかも。

 

個人を尊重しながら他人の苦境に心を寄せられる。

ヨーロッパ的な価値観を分かりやすく見せてくれる作品だと思いました。

 

 

主任は結局裏工作していたのか?

 

気になる事がひとつ。

お願いに回ってる最中、主任の圧力をあちこちで感じます。

でも最後に主任と話すとどうやら何も知らないようですね。あれは何なのでしょうか。

 

シラを切っている、実は全部社長の差し金、誰かが嘘をついてる・・・

いろいろ考えられますが要するに、

 

社会的な悪意は存在するけれど、それは曖昧なものだ

 

ということなのではないかと思いました。

 

みなさんの会社にもいませんか。意地悪なことばかり言う人。

あの人この前こんなこと言ってたんだよ。もうやだー、アイツ!

大体あの人、その前の時もあーでこーで。そうなの、あーでこーで。

こんな会話良くありますよね。

 

それは多分無くならないけど、真実や事実とは限らない。

物事はなんだって誰かのフィルターを通して語られるものですしね。

 

ドン・キホーテのように戦いを挑んでみたら風車だった、

そんなものだよ、というメッセージに感じられました。

 

それではまた!