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映画「ラストファイブイヤーズ」last 5 years L5Y 感想とネタバレ

こんにちは、やのひろです。

 

この作品、元はミュージカル舞台の映画化です。

舞台が本当に好きなので

映画が日本公開されるのをずっと待っていました。

 

この先はネタバレを含みます。

 

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この話の時間軸どうなってるの?と思った方への解説

 

1曲目でキャシーが別れを悲しんでるのに

2曲目でジェイミーはウキウキでベッドインしてて

この話どうなってるの???と思った方への簡単な解説です。

 

ジェイミーは出会いから別れへ、キャシーは別れから出会いへ、と時が流れています。

プロポーズのシーンを除いて二人の時間は重なっていません。

 

キャシーの時間軸を元に戻すと二人の気持ちはこんな感じです。

 

出会い

ジェ:異教徒の女神と出会えて最高!君みたいな人を待っていた!

キャ:明日また会いましょう。いつまでもあなたを待っているわ

 

ジェ:仕事も恋も絶好調!コントロール不能だけど上手くやっていくぜ!

キャ:あなたはそのままでいいのよ。私たちきっとうまくやっていけるわ

 

ジェ:クリスマス物語。キャシー勇気をもって夢に羽ばたいてごらんよ

キャ:オーディションが全然うまくいかない!毎日ウンザリよ

 

ジェ:次の10分をくれないか。それが終わったらまたつぎの10分を

キャ:永遠の時間をともにしましょう。あなたと生きていきたい

 

ジェ:結婚した途端他の女が気になる!誘惑は試練だ~!

キャ:夏のオハイオは最悪。。はやく夫の元に帰りたいわ!

 

ジェ:いい加減にしてくれ!君を信じているのに。パーティーに出るんだ!

キャ:私はあなたの世界の一部でしかない。こんなの寂しい・・・

 

ジェ:他の女性と関係を持ってしまった。でもこれは誰も知らなくていいこと

キャ:オハイオに来てくれて嬉しい。え、もう帰るの?信じられない!

 

別れ

ジェ:荷造りは終わった。僕にできることはもうないよ。さよなら

キャ:彼はもう終わったというけど私はまだ傷ついたまま

 

舞台版は休憩なしの二人芝居で

二人は舞台上に居ますがプロポーズの曲以外は相手のことを見ません。

語り掛けてるのに目の前に相手はいなくて、ずっと一人芝居のよう。

だからこThe Next Ten Mituetsでたった一度だけ時が重なるのが、

切なくて切なくて・・・。

 

映画版では背景もたくさんついたし、何より補足説明が舞台より多くて

よりストーリーを理解しやすいようになっていました。

 

ジェイミーに納得ですか?それとも・・・

 

ジェイミーは別れを決意したものの、キャシーはまだ未練がある。

このエンディングはいかがでしたでしょうか?

 

舞台をみてサントラも聞きこんでいた私はこの物語への感想が固まっています。

「ジェイミー、ずるくない?」というものに・・・。

 

実はこの物語は作家本人の離婚体験をもとに作られているそうです。

つまりジェイミーは作詞、作曲を担当したジェイソンロバートブラウン氏がモデル。

確か昔のパンフレットには、このことで別れた奥さんから訴えられたと

書かれていた記憶もあります。

 

そんなわけで、私はどうしても物語として割り切れなくて

なんだか作家本人が離婚の原因は彼女にあったと言い訳してるように

感じちゃうのです(^^;

 

そこを差し引いてもちょっとジェイミーに甘い展開に見えるので

旦那さんに一緒に映画を見てもらって、

果たして男性からみてこの物語はどうなのか訊いてみることにしました。

 

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もう彼にできる最後の優しさが、別れしかなかった・・・

 

「なんだか女性が悪く見えるように描かれてたね。珍しい。

 男はいつまでも引きずって女は割り切るのが定番かと思ってたよ」

 

というのが旦那さんの最初の感想でした。

だよねだよね。女性の方が悪く描いてあるよね??

 

そこで私はキャシー側の言い分をぶつけてみました。

 

・仕事と家庭とどちらに軸を置くのか迷う気持ちはよくわかる。

・毎日オーディションで頑張ってるのにジェイミーは励ますばかりで認めてくれない。

・浮気まで彼女の所為みたいにされてたけど、それは責任転嫁でしょ。

オハイオでの誕生日に日帰りすることない。

 せめて泣いたら寄り添うなりしてくれても。

 

それに対して旦那からのジェイミー代弁(?)はこうでした

 

・無限の時間をあげるから好きなことをしていいよとキャシーを応援したのに

 彼女は挫けてしまった

・彼女が上手くいってないことは分かってる。

 だからこそ自分が安定して稼いで支えてやらなくちゃと仕事に励んだはず。

・励ましたし支えもした。愛してるけどこれ以上自分にできることは何もない。

 一緒に居て傷つけあうくらいなら解放してあげようという彼の優しさ。

・浮気はそうだけど、愛されないと仕事できない人なんでしょ?

オハイオの誕生日はもうお手上げ。どうしていいか分からないよ、あれは。

 (そう言わないでよ。あそこで抱きしめてあげてください!←女の願望)

 

そう聞いたらなんかジェイミーの気持ちも分からないではない・・・

「それにしてもそれをミュージカルにして世の中に言いふらさなくても」と言ったら

「それはもう物語の外の話でしょ」と冷静に処理されました。そうですね。。

 

あなたはキャシーとジェイミーどちらに心を寄せたでしょうか?

 

ん~でもなぁ~・・・

もしキャシーの時間が過去から未来へ流れてたら

この話キャシーの方に説得力がでると思うんだよなぁ。。

キャシーから見た5年間はまた違っただろうし。

やっぱりキャシーが可哀想な気がするなぁ・・・(諦めが悪い^^;)

 

音楽に込められた仕掛けと作詞作曲の素晴らしさ

 

そんなラストファイブイヤーズですが、

私としては5本の指に入るくらい好きなミュージカルです。

 

理由はいくつかありますけれども、とにかく曲が良い♪

作詞作曲はジェイミーのモデルである原作者、ジェイソンロバートブラウン

悔しいけど素晴らしいメロディとリリックだと思います。

 

思わず唸ってしまうポイントはたくさんありますので一つだけご紹介します。

 

作品の一曲目Still Hurtingのイントロにピアノが流れます。

映画でも一番最初に流れる旋律です。

寂しげに、遠慮がちに、少し優しい、ゆったりとしたメロディ。

そこにチェロなど低めの音が加わってキャシーの歌が始まります。

 

このド頭のピアノイントロがこの作品の鍵で

同じ旋律が何度も形を変えて出てきます。

 

私は世界の一部でしょというA Part Of Thatのアウトロ、

プロポーズをするThe Next Ten Minutsの終盤。

 

話が進んでもこのメロディは時々顔を出すんですね。

なんだろう、どんな意味があるメロディなんだろうと思っていると

最後の曲でその謎が解けます。これはジェイミーのメロディなのでした。

 

I could never rescue you

All you ever wanted

But I could never rescue you

No matter how I tried

All I could do was love you hard

And let you go

 

僕にはもう君を助けられない。

どんなに君が求めても。

僕にはもう何もできないんだ。

どんなに僕が努めても。

もう僕にできるのは君を愛することだけ。

だから君を解放してあげるよ。

 

No matter how I tried

All I could do was love you

God, I loved you so

So we could fight

Or we could wait

Or I could go...

 

どんなに僕が努めても。

もう僕にできるのは君を愛することだけ。

あぁ、愛していたよ、本当に。

喧嘩も我慢も終わりだ。

もう行くよ・・・

 

この部分です。

 

つまりこの物語は最初からジェイミーの意思のもとにあるわけですね。

キャシーの歌でもジェイミーの存在感があるし、

ジェイミーが5年間を思い出してる話なのです。

 

こんな風に音で表現されていることがかなり多くあるミュージカルです。

シンプルなお話なので自分なりの解釈が色々できる作品だと思います。

見終わってから「この二人はこの後どうしたのかしら・・・」なんて

想像を膨らませるのも楽しいですよ(^^)

 

それではまた!