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舞台「紫式部ダイアリー」 斉藤由貴、長澤まさみ、三谷幸喜脚本 感想

舞台「紫式部ダイアリー」 斉藤由貴長澤まさみ三谷幸喜脚本

 

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こんにちは、やのひろです。 

 

この作品は、「この顔触れ、絶対面白い!」と思ってました。

特に長澤まさみさんはクレイジーハニーでの狂人じみたお芝居が好きだったので

久しぶりに舞台でのお芝居が観れる!と楽しみでした。

 

以下、ネタバレ含みますので気になる方は見終わってからご覧ください。

 

 

舞台の概要はこちらのとおり

 

キャスト・配役

清少納言斉藤由貴

紫式部長澤まさみ

 

あらすじの一部

とあるホテルのバーカウンターで清少納言が誰かを待っている。

所在なさげに。高いバースツールに座りにくそうに。

 

そこに弾けるような明るさで紫式部がやってくる。

清少納言さんと飲めるなんて、光栄ですぅ~!」

しかしそこには言葉とは裏腹な自信が見え隠れしている。

 

明日は大事な文学賞、曙賞の授賞式。

ベテラン審査員でやや落ち目のの清少納言と飛ぶ鳥を落とす勢いの新人審査員紫式部

夜のバーカウンターで女の戦いが静かに始まる・・・。

 

 

年齢、経歴、勢い・・・女って複雑です

 

いや~、、三谷さん。。

どうして女性のバトルが男性のあなたに分かっちゃったのでしょう?笑

 

年上で経歴が長いのは清少納言

時代の先駆者でみんなが尊敬しているのも彼女です。

 

でもいま勢いがあってみんなに求められてるのはあたしなのよ!by紫式部

 

という彼女の天真爛漫な自信が出ていて、見てる私までタジタジでした(^^;

あの押しの強さが嫌味にならないのは、

やっぱり長澤まさみさんの上品さなんだろうなぁ。

 

それに対して清少納言さんがかなり大人の対応をされていたのが印象的。

 

現実だったら「あははー、そうなの~、ふぅ~ん」などと適当に相槌をうっておいて

裏で「あの子ったら凄い傲慢なのよ!」なんて広めることもありそうですが

清少納言さんはいつでもぐっと堪えていて

紫式部ちゃんの失礼な態度にも怒りません。

 

 

この感じ・・・映画「アマデウス」に似ている。

 

この感じ他の作品にもあったような、、と思ったらアマデウスでした。

モーツァルトの生涯を同時期の老年作曲家サリエリから描いた名作映画。

 

あれはモーツァルトに見下されて怒り心頭のサリエリ

実は唯一、当時から彼の才能を理解していた・・・という物語で

その関係が今回の清少納言紫式部の間にもあるように思いました。

 

実力のある清少納言だからこそわかる、紫式部の実力。。

読者は作品なんか見てないと嘆く紫式部清少納言が語り掛けます。

 

「あなたは、千年先の読者に向けて物語を書く人よ」

 

このセリフをいう斉藤由貴さんが!!

もう。。。切ないんです。

悲しい目をされていて・・・。

 

これは私の想像ですが、「書く人、よ・・・」のところに

「私は違ったけどね」という悲しさが込められていた気がします。

 

現代の私からすれば

 

そんなことありません!私たち、枕草子も大好きですよ。

教科書載ってます。やっぱり春は曙、夏は宵です。分かりますよ!と

胸の中で声をかけながら見てました。

 

 

結局、紫式部日記には何て書いてあったのか?

 

ラストシーンは曖昧な形で終わっていました。

 

斉藤由貴さんのインタビューによると、実はラストにはセリフがあったのですが

斉藤さんの希望でセリフなしのリアクションだけで終わらせることになったそうです。

 

清少納言が、怒ることだったような、喜ぶことだったような・・・

どちらにも取れる反応。

 

紫式部日記というのは実際にあって、そこに清少納言のことが書かれているので

残っている文章がどういう内容なのかはすぐに分かります。

 

これが結構酷いんですよ(^^;

源氏物語を書いた人が、同じく文才のあった女性にこんなこと言う!?と思うほど。

政治的にも敵対関係だったので

その上での想いもあったのかもしれませんが。

 

だからせめてこの舞台の中だけでも、

紫式部清少納言を尊敬していると分かるようなことを

書いててほしいな。。と思いました。

 

たぶん彼女のことだから素直に褒めちぎったりはしてないだろうけど(笑)

 

「まったく、こんなこと書いて!もうっ・・・仕方ないわね」

そんな風に思うようなことだったんじゃないかなーと。思います。

 

そう思うとこの舞台は、まるで三谷さんから清少納言へのラブレターのようです。

中世にはあなたを悪く言った人もいましたけど、僕は分かっていますよ、という。

なんだか全体を暖かい気持ちが包んでるような舞台でした。

 

 

それにしてもこの二人の女優さんが・・・

 

すごい。

それぞれでもすごいのに、がっつり二人で取っ組み合った芝居。すごい。

 

まず長澤まさみちゃんは、上記の通りクレイジーハニーでの演技がもうぶっとんでて

それまでの清純派なイメージを覆され、驚きました。

映画「モテキ」公開と同じ時期に上演されてた舞台です。

モテキみて「あれっ、なんか印象変わった」と思った方、この舞台もおすすめです。

 

こういう、下手したら嫌味な女になっちゃう、でも実は寂しさを感じてる、

という女性を演じたら彼女が一番なんじゃないでしょうか。好き。

 

そして斉藤由貴さん。

私の中では「吾輩は主婦である」という

クドカンのドラマでやった夏目漱石役の印象強くて

えっ、この方可愛いのに夏目漱石が乗り移った主婦の役って・・・と驚き

なんでもできるんだな!!!とドギモ抜かれた記憶があります。

斉藤由貴さんにそんな人物をあてたクドカンもすごい)

 

くすっとさせるコメディも得意で、キュンとさせる大人の女性の悲しさも出せて。

ぐわっと目をむいたり、寂しそうに笑ったりもする。すごいなと!!!

 

ごめんね青春に出てたシスター役も好きでした。

また舞台で見たいな。

 

それではまた!